未経験者に門戸が広い業界を聞く
自動車やエレクトロニクス関連など、メーカーでも輸出比率の高い業界では、エンジニアや生産管理関係の職種を中心に堅調な採用が続いている。
消費者に身近な製品の印象が強いために、業界経験者でなければハードルが高いと思いがちだが、裾野が広い産業だけに、実は様々なジャンルでの経験を生かすことが可能。
「なかでも部品点数だけで1万5000点に及ぶ自動車メーカーは、鉄鋼などの素材から電機、家電、化学など、いろいろな分野でのキャリアを生かすことができます。他の業種からの転職も少なくありません」。視野を広げて見ることで、新たな可能性が見つかるかもしれない。
絶好調で、需要と供給のバランスが最も崩れている業界。「人がいれば仕事が取れるのに、人がいないので断っているという会社も少なくない。なかでもSEやプログラマー、ウェブ系の営業担当者の採用難は深刻。「プロジェクトのメンバーを束ねて、どのような仕様にするかといったことを取引先と詰めていく30歳前後のサブリーダークラスの求人が多い」。専門知識だけではなく、文系的な論理構成ができる人が求められているので女性で活躍している人も多い。「SEや開発の経験があり、コンサルティング関係の仕事へというのが、今一番高い評価を受けている」。これまで労働環境が厳しいといわれていたIT業界が、こちらも大手を中心に改善に向かっているようだ。
大手から中堅まで全般的に採用に意欲的な企業が多い。専門性の高い職種は業界経験者が有利だが、仲介や売却、販売などの営業職は前職に関係なく、他業界からも入ってくる人が多い。「同じ業界でキャリアアップしたいという人だけではなく、キャリアチェンジしたいという人にも可能性が大きい。女性ならではのきめ細かな気配りを評価されて、活躍している人も多いので、採用にも意欲的な企業が多いです」
従来は土日勤務がある会社が多いことや、売り上げなどのノルマがあることからやや敬遠されがちだったが、最近はシフト制を導入したり、チームごとのノルマとする企業が増えている。求職者側の注目度も急上昇中だ。
大手金融機関ではこの1、2年新卒を大量採用している。その結果「未経験に近い第二新卒というよりは、ある程度経験のある人の採用へとシフトしている」ものの、依然として採用に積極的な企業が多い。
なかでも12月から生保商品の銀行窓口での販売が可能になるので、生保業界経験者にはビッグチャンス!
メガバンクをはじめとする銀行各社はもちろん、生命保険各社も銀行への営業要員の採用に意欲的。また、生命保険会社の営業職から銀行の正社員として採用されるケースも多い。「特に銀行は、これまで異業種からの採用が比較的少なかったのですが、その意味でも今はチャンスです」
少子化は進むが、子どもの教育には力を入れたいという親が増えている。「いい先生」が丁寧に教えてくれればそれでいいという時代ではなくなりつつあり、生き残りを賭けて、学習塾をはじめとする教育産業各社は、優秀な人材の採用に力を入れている。
特に各社が採用しようとしているのは、20代後半から30代前半の教室長候補。これまでの塾のイメージにとらわれず、新しい発想を持っている人を探しているという。
「必ずしも、優秀な塾講師である必要はありません。塾講師の経験はあればベターですが、必ずしも必須ではありません。むしろ、ビジネスセンスがあり、どうやったら収益を上げるシステムを作ることができるか、を考えることができる、広い視野を持ち、柔軟な発想ができる人が求められています」
このところの好景気で、業界を問わず、採用に積極的な企業が多い。最近は自社だけで採用選考を行うのではなく、人材紹介や人材派遣などの人材サービス会社を通じて人員を確保しようとするところが増えている。
人材サービス各社は比較的新しい産業ということで、ただでさえ、優秀な人材確保が難しいうえ、派遣会社・人材紹介会社を問わずもともと多くの人材を必要とする労働集約型の産業。人材サービス各社での人材不足も深刻な問題となっている。
「なかでも、派遣スタッフや求職者に対してキャリアアドバイザー的な役割を果たすことができる人材を求めている企業が多いですね」
人材の確保が非常に難しく、「なり手がいない」状況が続いている。特に過酷な労働環境が指摘されることが多い店長クラスの人材不足は深刻。「それだけに、逆に店長として店舗をマネジメント、実績を挙げた経験のある人のキャリアは、転職市場でも高く評価されます」
外食、流通業界は「同業他社でキャリアアップするだけではなく、スーパーバイザーやコールセンターをはじめ、他業界へ転職する人も多い」というのが特徴。他の業界や職種へのステップとすることも視野に入れて、この業界へ転職を考える人もいるようだ。未経験か
らの転職者にも門戸が広いので、実力を身に付けるにはいいかもしれない。
ますます高齢化は進むが、介護の現場の人手不足は深刻。デイサービスで介護・ケアスタッフ、ケアマネジャーをはじめ、求人数は多い。
それぞれ資格取得者が優遇されることが多く、介護スタッフの場合はホームヘルパー2級、介護福祉士、ケアマネージャーや生活相談員には介護支援専門員資格などの有資格者であることが条件となっているケースが多い。
社会的な意義があり、将来性も高いと、介護、福祉の仕事に就きたいという求職者も決して少なくない。だが、いかんせん現場の仕事の厳しい現実に、早期に離職してしまう人が多いのも事実。憧れだけではなく、チャレンジするならそれなりの覚悟が必要だろう。
現場の販売スタッフが不足しており、積極的に採用したいという企業は多い。従来パートやアルバイト、契約社員として雇用してきたが、人材確保のために正社員として採用するケースも目立つ。「雇用形態を問わず販売職の経験があると有利です」
郊外エリアを中心に各社の出店競争が激しくなり、フロアマネジャーや店長候補も不足している。その背景には拘束時間が長くなりがちで、他の業界に移る人が多いという現実も見え隠れする。
女性に人気の高いラグジュアリー系ブランドも採用は堅調。店頭販売スタッフならそれほど語学力が必要になることはないが、企画やマーケティング、マネジメントクラスになると本社からの指示が英語なので、語学力がネックになることも。